2005年 07月 31日
2005年3月1日 講談社刊 初出誌「小説現代」 観光旅行 長い時間一緒にいたから、ハシヅメくんのことがわかるなんて嘘だ。私と似ているなんて嘘だ。きっと一生一緒にいたってわからないままだ。わからないことが怖くて私は会話を避けてきたのだ。私は彼と会話を交わさなくてはいけない。もしあと数日ののちに、まったくの他人になるのだとしても。 テラスでお茶を マンションじゃなくたってよかったんだと私は気づいてしまう。ヒサコにできなくて私にできることならなんでもよかったたんだ、電球替えだって配線だって。ヒサコが韮澤に頼まなければ解決できないことを私はできるのだと証明したかっただけなのだ。自分自身に、韮澤に。私もヒサコもまた韮澤も、相手が必要なのだというそれだけのことを伝えるのに、どれほどの遠回りをしなければならないのだろう。
by t_hollyhock
| 2005-07-31 18:10
| 角田光代
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